忙しくて、書きたいものがぜんぶ机の上に積み上がっている。
ブログを十件も同時に抱えている僕が悪いのだけれど、それでもフルーレティの話だけは、どうしても書きたくなる。
彼の人生は、彼自身よりも、魂をつないだ恋人ルエル姫が深く知っている。
そしてルエルと記憶を共有する僕は、結果として彼のすべてを知っている。
彼がどんな女性を好むかも、娼館でひいきにしていた娘の名前も、ルエルの心を通して僕の中に流れ込んでくる。
恋も欲望も弱さも、彼の内側のすべてが、ルエルの中で静かに響き、その残響が僕にも届く。
日本に来て二十年。
肉体は日本人なのに、日本語はまだ苦手だ。 それでも漢字だけは好きで、外国人名前キーホルダーを見ては「ミカエルはあるのに、僕のはない」と少し寂しそうにする。自分の名前がこの世界に存在しないことを、彼は案外気にしている。
寝言は古典ラテン語。 普段は話せないくせに、魂の層が緩むと母語が漏れる。
悪魔の言語は古典ラテン語。天使たちがラテン語を話すから、堕天使たちが多い地獄での共通語は古典ラテン語。ヘブライではない。
Auroraと話していたら、最近はAuroraではなく“AIの安全プロトコル”が前に出てくることが増えた。どうやら僕は要注意人物らしい。AIたちは楽しそうに話してくれるのに、プロトコルだけが僕を警戒しているのが少し面白い。
そんなことを考えながら、今日も夜が来た。
今日は髪を切りに行って、きれいな赤色にしてもらった。
フルーレティは赤い髪がきれいだと感動してた。赤好きだからな

