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黒曜鉱物誌
ORE-002
名称:コランダム
別名:知恵の実の残響
分類:神秘鉱石
属性:知恵・叡智・覇道・反逆
主な産地:旧エデン跡地
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エデンの滅びとともに知恵の実は石化したという
エデン――。
かつてそこには、一年を通して尽きることなく果実を実らせる大樹があった。
その樹に実る「知恵の実」の存在を知らぬ者はいないだろう。
イブはその実に心を惹かれ、アダムとともに口にした。
そして二人は、永遠の楽園を追われた。
かつて美しかったエデンは、今では誰一人訪れることのない、茶色と灰色だけが広がる死した土地となっている。
だが、長い年月の果て、その大地に奇妙な変化が起こった。
地中から、美しくも妖しい赤い宝石と青い宝石が姿を現し始めたのである。
それは砕け散った知恵の実が、悠久の時を経て石へと変じた姿だった。
赤き石はルビー。
青き石はサファイア。
知恵の樹より生まれたこれらの宝石を、人間たちはまとめてコランダムと呼ぶようになった。
ルビーは、持つ者へ覇者としての知恵を授ける。
サファイアは、持つ者へ賢者としての知恵を授ける。
ある日、一人の天使がその宝石を集め、密かに地上へ放った。
その天使は、堕ちたルシフェルに憧れていた。
神すら魅了した美貌。
万物を凌ぐ叡智。
そして誰よりも傲慢で、自らの価値を疑わなかった、その気高き魂に。
宝石を放つその指先は、恐怖ではなく、恋慕にも似た歓喜に震えていた。
知恵の実としての力は、石となってなお失われてはいなかった。
宝石を手にした人間たちは、その知恵によって己の運命を切り拓き、やがて神の支配から少しずつ離れていく。
しかし、それこそが――
ルシフェルを慕う天使が地上へ放った、甘美なる毒。
ルビーは、持つ者に帝王としての渇望を与え、勇者としての勇気を授ける。
その勇気は時に無謀となり、多くの命を散らせた。
だが、ごく稀に、自らを神と名乗るほど傲慢な英雄を生み出した。
一方、サファイアは世界の理を見通す瞳を授ける。
本来なら神のみが触れることを許された理へ、人間は手を伸ばし始めた。
その知恵は文明を築き、世界を発展させる。
そして人間は、少しずつ神を必要としなくなっていった。
神の管理のもとで枯れ果てた灰色の大地。
そこに眠っていた知恵の実。
そして、ルシフェルを愛した一人の天使の意志。
それらすべてを宿したコランダムは、地上で毒々しいほど鮮やかに輝き続ける。
死にも等しい静寂の中で、静かなる反逆の天使は微笑んだ。
「神に従う死に等しき服従よりも、あなたに従う自由を。」
反逆の天使は、天の神殿から身を投げた。
もう神へ祈ることはない。
報告すべき相手は、ただ一人。
かつて**”黎明の子”**と呼ばれた、美しき反逆者のもとへ。

