CHR-003-ベルゼブブ

闇に棲む者たち

ベルゼブブ

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黒曜人物誌
CHR-003

名称:ベルゼブブ
称号:蠅の王
分類:魔王/軍事国家の王
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―― 蝿の王と呼ばれた軍学の魔王 ――

蠅の王。

巨大な蝿の姿をとり、羽には骸骨の紋様が浮かぶ魔王。

その異様な姿から、人間たちは彼を疫病や腐敗を司る悪魔として恐れてきた。

しかし、その姿だけで彼を語ることはできない。

ベルゼブブは、ルシフェル、アスタロトと並ぶ闇世界最高責任者「三柱」の一人であり、その戦略眼と統率力は、ときにルシフェルさえ凌ぐと評される。


神秘学研究所バベルの研究者

堕天以前、ベルゼブブは天界に存在した神秘学研究所バベルで研究者として働いていた。

担当していたのは、

菌類。

昆虫。

爬虫類。

両生類。

毒草。

世界に存在する「陰」の性質を持つ生命すべて。

彼は小さな命にも等しく価値を見出し、生命とは何かを探究し続けた。

華やかな研究ではない。

しかし彼は、自らの研究を誇りにしていた。

命に貴賤はない。

その信念だけは、誰にも譲らなかった。


研究者が悪魔になった日

ルシフェルが創造神へ反旗を翻したその日。

神秘学研究所バベルに所属していた研究者たちは、一柱残らず天界から追放された。

ベルゼブブも例外ではなかった。

彼自身は何一つ罪を犯していない。

世界を壊そうとも思っていない。

ただ研究を続けていただけだった。

それでも彼は、ルシフェルの部下であったという理由だけで闇へ堕とされた。

ベルゼブブは激しくルシフェルへ抗議した。

しかしルシフェルは、

静かに目を伏せ、

ただ謝ることしかできなかったという。

その瞬間、ベルゼブブは理解した。

もう神秘学研究所バベルは戻らない。

あの日々は終わったのだと。


軍事国家の王

ベルゼブブはルシフェルと袂を分かった。

彼はルシフェルへ怒りを抱く悪魔たちを集め、新たな国家を建国する。

その国家は徹底した軍事国家として発展し、バアルをはじめ数多くの武闘派悪魔を抱える勢力となった。

彼自身もまた軍を率いる王となる。

しかし彼は、生まれながらの軍人ではない。

本来は研究者である。

だからこそ彼は、感情よりも現実を優先する。

理想論では戦争は終わらない。

兵站。

補給。

感染症。

毒。

環境。

生命を知る者だからこそ、戦争という現実を誰よりも理解していた。


厳格なる王

ベルゼブブは冷酷な王として知られる。

部下にも容赦はない。

結果を求め、

失敗には厳しい。

だからこそ恐れられる。

しかし同時に、彼ほど部下を大切にする王も少ない。

優秀な者は身分に関係なく登用し、

命を無駄に捨てることを何より嫌う。

彼にとって兵士とは消耗品ではない。

積み重ねた知識そのものだからである。

そのため彼の臣下たちは、

恐れながらも深く彼を慕っている。


黒曜領との対立

現在もベルゼブブはルシフェルと敵対関係にある。

黒曜領へ軍を進めることも少なくない。

その怒りは今なお消えていない。

彼にとってルシフェルは、

人生を狂わせた男だからである。

研究所を失い、

天界を失い、

平穏な日々を失った。

さらに、彼が保有していた「光」――フルーレティまでも失うこととなった。

彼は今も、その出来事を忘れていない。


研究者としての誇り

それでもベルゼブブは、自らの研究を否定したことは一度もない。

生命は美しい。

どれほど小さな菌も、

どれほど醜い蟲も、

世界には存在する理由がある。

その信念だけは、

堕天しても、

王となっても、

決して変わることはなかった。

彼が本当に帰りたい場所は、

栄光ある天界ではない。

神秘学研究所バベル。

白衣をまとい、

静かに命を研究していた、

あの研究室なのである。


黒の観察者・観測記録

人間は彼を「蝿の王」と恐れた。だが彼が最後まで愛していたのは、世界で最も小さな命だった。

【観測記録 CHR-003】

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