
天界史上最大の禁忌を犯し、闇世界最大の領土「黒曜領」を統べる魔王ルシフェル。
後世では「もっとも有名な堕天使」として語られますが、その真実は伝承とは大きく異なります。
本記事では、『黒曜の夜想曲』の世界におけるルシフェルの人物像、黒曜領の王としての現在、人類神秘学の最高権威として歩んだ過去、そして創世神と人間を巡る真実を、黒曜の図書館・人物事典として記録します。
ルシフェル
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黒曜人物誌
CHR-001
名称:ルシフェル
称号:黒曜領の王
分類:元・熾天使/魔王
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黒曜領を統べる深淵の王
ルシフェル――天界史上最大の禁忌を犯し、現在は闇世界最大の領土「黒曜領」を統治する魔王。
後世、人々は彼を「もっとも有名な堕天使」と呼ぶようになった。
世間では「サタン」と同一視されることも少なくない。しかし、厳密にはサタンとは別の存在である。
真のサタンは悪魔たちの前にも決して姿を現さず、その存在は長い年月の中で伝承から薄れていった。その結果、人間の魔術師たちは闇の王であるルシフェルをサタンと混同するようになったと伝えられている。
実際には、サタンは自ら闇世界の統治権をルシフェルへと譲り渡し、現在は隠居の身である。
ルシフェルにとってサタンは父にも似た存在であり、最も深い理解者でもあった。
天界を追放され、すべてを失って地獄へ堕ちた日。
サタンは過去も理由も問わず、ただ静かに彼を迎え入れたという。
現在、その居所を知るのはルシフェルただ一人。
人間にサタンと混同されてもなお、ルシフェルがその誤りを一切訂正しないのは、偉大な父への敬意と、その存在を秘匿するためなのかもしれない。
黒曜石の城
現在のルシフェルは、黒曜領にそびえる巨大な火山の麓に築かれた黒曜石の城――黒曜城に居を構えている。
城壁から玉座に至るまで、そのほとんどが巨大なオブシディアンによって築かれており、黒曜領そのものの象徴となっている。
彼はそこから悪魔たちを統率し、闇世界全体を静かに見守り続けている。
失われた光と少年の姿
天使であった頃の、黄金に輝く髪と碧い瞳はすでに失われた。
現在の彼は、漆黒の髪に銀色のシラーが妖しく揺らめき、その瞳は底知れぬ闇を湛えた黒へと変わっている。
黒い軍服に長いマントを纏うその姿は、魔王でありながら二十歳にも満たない少年のようにしか見えないという。
しかし、彼はかつての姿を決して懐かしまない。
光の中にいた頃の自分は、「神の奴隷」に過ぎなかったからである。
普段、その背に翼は存在しない。
だが、その感情が大きく揺れ動くときだけ、失われたはずの光翼が一瞬だけ姿を現すと伝えられている。
人類神秘学の最高権威
堕天以前、ルシフェルは天界最高学術機関「神秘学研究所バベル」の所長を務め、人類神秘学を専門とする最高権威であった。
生命。
魂。
神秘。
神造学。
そのすべてを探究し続けた彼の知識は、神々すら凌ぐと伝えられている。
なぜ彼がそこまで人間という存在を研究したのか。
それは、この世界における「人間」の誕生そのものが、神々にとってさえ未知に満ちた存在だったからだという。
バベルの地下には、人間たちが穏やかに暮らす巨大な街が存在していた。
人々は働き、笑い、家族を築き、明日の心配をすることなく平穏な日々を送っていた。
彼らは、自分たちを見守るルシフェルや天使たちへ深い感謝を捧げながら生きていたという。
だが、その理想郷は、ルシフェルが天界を追放されたその日、跡形もなく姿を消した。
街は残った。
しかし、人間だけが一人残らず消えていたのである。
彼らを神の怒りから逃がしたのか。
神が滅ぼしたのか。
それとも、まったく別の真実が存在したのか。
その答えを知る者は、今は誰もいない。
神を超えた知
人間という存在を研究し続けた末、ルシフェルは神ですら気づかなかった一つの真理へと辿り着く。
創造神は万能ではない。
そして何より――
神は、人間を愛していない。
その事実を知った瞬間、ルシフェルは世界の終焉を見た。
愛されない人間は、いずれ神を捨てる。
あるいは、人間そのものが神という概念を書き換えてしまう。
それは避けることのできない世界の摂理だった。
彼は未来を見たのではない。
人間という存在を知り尽くした果てに、未来へと至る唯一の結論へ辿り着いたのである。
現在
神をも凌ぐ知を持つ少年は、今日も黒曜城の最上階から静かに世界を見つめている。
神に愛されなかった人間たちの行く末を。

