
神秘学研究所バベル三位の研究者、アスタロト。彼女は人間以外の哺乳類たちの研究に没頭していた。
優しい性格の持ち主でありながら、『真正奥義書(グリモリウム・ウェルム)』においては単なる強力な悪魔にとどまらず、ルシフェルやベルゼブブと並び「地獄の支配権を三分する超大物」として位置づけられている。
かつて豊穣の女神であった彼女は、夜空に眩しく輝く金星のごとき気高き光と、息をのむほど美しい女性の姿を備えている。 古来、召喚した魔術師たちは彼女の纏う芳しい香水の匂いに困惑した。「悪魔である以上、甘美で美しい匂いを放つはずがない」——その先入観と偏見ゆえに、グリモワールには彼女の香気が「悪臭」として記されることとなったのだ。
彼女が支配する「ガーネット領」は、決定的な不仲にあるルシフェルとベルゼブブのどちらにも与しない孤高の中立地帯である。 古代より「忠実」「勝利」「実り」、そして冥界との繋がりと復権を象徴する深紅の鉱石・ガーネット。その名を冠する領域は、まさに彼女の治世そのものだ。
彼女の国では女性が優位であり、近衛兵たちもすべて洗練された女性で構成されている。そこでは、あらゆる女性の心を狂わせると言われるフルーレティの美貌すら通用しない。ガーネットが象徴する揺るぎない忠誠心をもって、兵たちはアスタロトに心を捧げている。
三柱の中で最もフランクで親しみやすい性格を持つ彼女は、ルシフェルの娘であるルエルに女性らしい所作や身のこなしを教えた師でもある。 ルシフェルの引き起こした大罪に巻き込まれ、ベルゼブブと共に堕天させられた悲劇の過去を持ちながらも、彼女はルシフェルの選択とその裏切りに対して、どこか静かな理解を示している。

