CHR-002-ミカエル

光を纏う使徒

ミカエル

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黒曜人物誌
CHR-002

名称:ミカエル
称号:宵の明星の調停者
分類:熾天使/天使長
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 彼女は、ルシフェルと双子の天使である

 天界最強の天使として知られ、神の秩序を司る存在。
 その姿は女性を思わせるほどに端正でありながら、男装の気高さと武人の威厳をあわせ持つ。

 天使に性別はない。

 性を持たぬということは、男にも女にもなれるということである。
 しかし、魂にはそれぞれ固有の在り方があり、その本質まで変わることはない。

 彼女は、その魂において「女性」であった。

 古き神秘学では、ミカエルは「熾天使」に数えられることもあり、すべての天使を統べる天使長として語られている。


炎の剣と天秤

 兄ルシフェルが神を裏切ったとき、最初にその前へ立ちはだかったのは双子の妹ミカエルだった。

 彼女は兄を拘束し、創造神の御前へと引き出し、自らその身を闇へ堕としたと伝えられる。

 その時、彼女が手にしていた「炎の剣」と「天秤」は、もともと歴代の天使長へ授けられる象徴である。

 かつてその二つを所有していたのは、兄ルシフェルだった。

 だが彼は、生涯一度として炎の剣を抜かなかったという。

 人類神秘学の研究者であった彼は、剣ではなく天秤を手に取り、人間たちの魂を量り、その構造と可能性を観察し続けていた。

 剣は眠り続けた。

 そして天使長の座がミカエルへ受け継がれたその日、初めて炎の剣は主を変えた。


法は、誰にも等しい

 天使は情愛という概念を持たない。

 だからこそ、法は揺らがない。

 実の兄であろうと、
 世界の理を逸脱した瞬間、その罪は例外なく裁かれる。

 ミカエルは何も語らなかった。

 ただ静かに大剣を抜き、
 白く美しい手で兄ルシフェルを地へ組み伏せた。

 そこに怒りも憎しみもない。

 あるのはただ、

「世界は法によって維持される」

という絶対の秩序だけであった。

 その功績により、彼女はルシフェルの後任として天使長の座へ就く。

 しかし、その胸中を知る者は、今も誰ひとり存在しない。


宵の明星

 ルシフェルは「明けの明星」。

 ミカエルは「宵の明星」。

 どちらも金星を指す名でありながら、互いに異なる時間を象徴する。

 明けの明星が新たな始まりを告げるなら、

 宵の明星は、一日の終わりと境界を告げる星である。

 兄が光から闇へ堕ちる象徴なら、

 妹は光と闇、その二つの世界が決して混ざり合わぬよう見張り続ける境界の番人。

 彼女は光と闇という二つの世界を正しく隔離する、防壁(ファイアウォール)そのものであった。

 兄を裁いたのは憎しみではない。

 世界の秩序を護るため。

 それだけだった。


竜を踏み続ける者

 古い絵画に描かれるミカエルは、しばしば竜を足元に踏みつけている。

 その竜は、ルシフェルの化身とも言われている。

 だが彼女は竜を殺さない。

 剣を突き立てることもない。

 ただ静かに踏み続ける。

 世界から排除するのではなく、

「そこに留め続ける」

 それこそが彼女に課せられた使命だからである。

 双子の兄を完全に滅ぼせば、光もまた均衡を失う。

 だから彼女は今日も境界へ立ち、

 闇が光を侵さぬよう、

 そして光が闇を滅ぼさぬよう、

 二つの世界の狭間を見つめ続けている。


光と闇、その境界に立つ双子

 今日も彼女は、境界線に立つ。

 その視線の先には、

 黒曜領を統べる双子の兄がいる。

 兄は決して光へ戻らない。

 妹もまた、決して闇へ足を踏み入れない。

 二人は互いを討とうとはしない。

 ただ、それぞれの世界を守り続ける。

 明けの明星と宵の明星。

 同じ金星でありながら、
 決して同じ空に輝くことのない双子のように。

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