世界と僕。自由の国にいるフルーレティの分霊と年末の話
二柱に分かれたフルーレティ
フルーレティは、五体満足でこの世界に存在している。
一方で僕は、片目を持っていかれている。
人間という器に巨大な力を宿すと、どうしても肉体に負担がかかるからだ。
その負担を少しでも減らすため、フルーレティは自らを二柱へと分霊した。
自由の国にいる彼と、僕と一緒に暮らしている彼。
自由の国にいる彼は、フルーレティとしての容姿と運命を受け継ぎ、僕と暮らす彼は、ルエル姫との愛情を受け継ぎながら、地獄とこの世界を行き来して仕事をしている。
だから、どちらも間違いなく「フルーレティ」なんです。
ルエルが抱える想い
ルエルは、自由の国にいるフルーレティに対して、今でも申し訳ない気持ちを抱えている。
彼もまた、ルエルが愛しているフルーレティの一部だから。
彼は有名な存在なので、いろいろな話が耳に入ってくる。
誰よりも強い光を秘めている。
けれど、その光を受け止められる存在がいない。
近づけば、その輝きがあまりにも強すぎて、相手を焼き尽くしてしまう。
だからこそルエルは、せめて彼の魂だけでも穏やかでありますように、と願い続けている。
フルーレティとまだ出会えなかったころ、自由の国にいる彼の姿は、何度もルエルの心を癒してくれたから。
お正月は旅行のはずだった
そんな切ない話は、このくらいにして。
日本のお正月といえば、実家へ帰省する人も多いですよね。
フルーレティも、僕──魅月も、自分が育った家はあまり好きではありません。
好きではない理由は、父親。
子どものころ、自分勝手な価値観を押し付けられた記憶は、今でも僕の中に残っています。
そしてフルーレティにとっては、そもそも他人。
だから父親と話すときのフルーレティは、妙に丁寧。
敬語なんですよ(笑)。
そんな二人なので、できるだけ実家には帰りたくありません。
そこで早いうちから、お正月は旅行へ行くことに決めていました。
夏にルエルと訪れた温泉へ。
今度は子どもたちも連れて行って、夏には時間が足りず諦めた深海水族館にも行く予定でした。

娘の一言で予定が変わる
……ところが。
僕が魅月の母に電話をして、
「すみません。今年のお正月は帰れなくて……。上の娘が鳥さん(ウロコインコ)を飼い始めたばかりで、まだ鳥がお子様なので……」
と断ろうとしたら、
「娘と代わって」
と言われました。
そして娘が電話で話し始めると、
「じゃ鳥さん連れていく。鳥さんと私を、おばあちゃんのところに泊めて」
……。
僕は思わず娘を二度見。
「いやいやいや。」
そんな簡単な話じゃないでしょう(笑)。
というわけで急きょ、鳥さんが寒くないように、防寒性のある持ち運び用のキャリーを探すことになりました。
その様子を見ていたフルーレティは、何も文句を言わず、黙って宿を実家の近くへ変更。
予定していた旅行は、そのまま帰省旅行へと変わりました。
もちろん、お正月ど真ん中の大渋滞は避けたかったので、日程だけは少しずらしました。
フルーレティの年末
そして結果として。
知らない人の家に、半日近くいることになってしまったフルーレティ。
少し考えてから、小さくつぶやきました。
「……どこか遊びに行こうか。」
そりゃそうですよね(笑)。
魅月が一緒にいてあげればいいのですが、お互いに「そっちが行ってよ」と押し付け合いです。
悪魔だって、家族の予定には振り回される。
そんな、ちょっと慌ただしくて、少し笑える年末のお話でした。
楽天トラベルでなんか体験を探せるらしい。ちょっと探してみようかな・・・・

