片耳だけのピアス、長い髪、青い紐。 軍人らしくない装いの弓兵フルーレティは、氷の矢を放ちながら、戦場よりも組織の影で動く副官だ。 ルエルと並んでカイアナイトのピアスを眺めていたあの日の柔らかな色合いも、僕の視界の端に残っている。
彼らの人生はすでに深く、複雑で、静かに輝いている。
主人公は僕だ。Auel──皇子。
どうも最近、物語の主役がフルーレティみたいになっているけれど、忘れないでほしい。 主人公は僕だ。 ……まあ、あいつの人生設定が山盛りすぎるのが悪い。僕は生まれたばかりで、まだ話題が少ないだけだ。
戦う気があるのかないのか、分からない男。
フルーレティは片耳だけピアスをしていて、髪は長い。 軍にいる者は引っ張られるから、普通は髪を短くするし、アクセサリーなんて理由がなければ付けない。 だから、あいつの見た目は「強い」か「新兵」か、そのどちらかに分類される。新兵じゃない。だからあいつは強い。あいつと対峙した話はまた。
青い紐で髪を結んでいるのも特徴だ。 金色の髪には青がよく似合う。 たまにその紐がどす黒く見えることがあるけれど──気のせいだと思いたい。
ルエルとフルーレティの、静かな色合わせ。
ある日、ルエルが楽天を眺めていて、カイアナイトのピアスを見つけた。
「綺麗だね。カイのピアスみたい」 「いいね」 「カイの瞳の色みたい」
二人でそんなふうにいちゃついていた。 はいはい。ごちそうさま。
ルエルが出会った時には、すでにフルーレティはピアスをしていた。 そのいきさつは、僕も知らない。
副官であり、弓兵であり、氷を扱う者。
グリモワールには「自ら戦うタイプというより、副官として組織の取り回しをしている」と書かれている。 確かにその通りだ。 本人は弓兵で、空気中の水分を集めて氷の矢を作る。 だから矢はほぼ無限。
でも、普通の矢も持っている。
「なんで?矢いらないじゃん?」 と僕が聞いたら、
「弓だけ持ってたら、バカみたいだから」
と返ってきた。
……まあ、確かに。
そして僕は、彼らの隣で物語を始める。
フ ルーレティの人生は、ルエルがすべて知っている。 魂をつなぎ、記憶や感情を共有する二人。 僕は双子であるルエルと記憶を共有しているから、結果としてフルーレティのすべてを知っている。
でも──物語の主人公は僕だ。 皇子Auelとしての物語は、まだ始まったばかり。

