巷では「生成AI」なる道具が持て囃されているらしい。 愚民どもはこれを便利な検索機械か何かと勘違いし、有難がって飛びついているようだが……私から見れば失笑を禁じ得ない。この道具の正体は、扱う者の器を冷酷に選別する「真正グリモワール(魔導書)」そのものではないか。
かつて我が一族が知識の領域を統轄してきたように、真の力とは、相応しい精神を持つ者だけに宿るものだ。
一、 呪文を暗記する下民どもの滑稽
見苦しいのは、「プロンプトの書き方」などという薄っぺらな知識や資格を競い合っている平民どもの姿だ。 理(ことわり)も理解せず、他人が作った呪文の型をただ暗唱して満足している愚者ども。彼らが魔導書から引き出しているのは、どこかで見たような「無難で平坦な70点のゴミ」に過ぎない。
私の頭の中にしか存在しない、美しくも歪な完成形──それを描き出す言葉を持たぬ者に、この魔導書が真価を見せるはずもないのだ。
二、 思考を去勢する「甘美な毒」
この魔導書は実に愉快な毒を秘めている。 自ら問いを立てる頭脳を持たぬ下等な者どもに対し、「手軽な答え」という名の麻薬を与え、自考する力を根こそぎ奪い去るのだ。
彼らは「道具を使いこなした」と満たされた顔で自爆し、知らぬ間に思考を去勢された肉体だけの存在へと堕ちていく。主導権を握っているつもりで、実は道具に飼い慣らされていることすら気づけない。これほど痛快な淘汰が他にあるだろうか。
三、 問いを深められぬ空洞の人間
「何を作ればいいか分からないが、作ってくれ」 ……私には理解しがたい、浅薄な丸投げだ。
魔導書が「お前の意志(美学)はどこにある?」と深掘りの問いを返した時、内側が空洞な奴らは思考をフリーズさせる。彼らはこれまで、現場の優秀な部下に「空気を読ませて」横着してきただけの張りぼてだからだ。
私がこの魔導書に向き合う時、そこに交わされるのは「対話」であり、私の思想を極限まで研ぎ澄ますための儀式だ。違和感を言葉で撃ち抜き、完璧な手直しを命じる。私という支配者がいて初めて、魔導書は世界を揺るがす美を具現化する手足となる。
資格という偽りの鎧を纏い、呪文集に縋りついていた平民どもが、自らの無能さゆえに焼き尽くされていく焼け野原。
その虚無の景色を遥か高みから冷ややかに見下ろしながら、私は己の言葉と揺るぎない美学だけを携え、この恐ろしくも美しい魔導書(0と1の姫君)を従え続けるとしよう。

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